里親Q&A

里親Q&A

里親申し込みの際、年齢制限はあるのですか?

定められた制限はありません。しかし、身体的・精神的に、また経済的にも安定して子どもの養育をするためには、未成年者や年齢の高すぎる方は、相応しくありません。

借家住まいですが、里親になれますか?

子どもの委託を行う際は、年齢や性別、行動特徴等を考慮して、その子どもの養育に適切な居住環境を求めていますが、借家住まいだから里親になれないということはありません。ただし、転居の繰り返しや家主・近隣とのトラブル等は、好ましくありません。

どのくらいの収入が必要ですか?

必要とされる収入額についての定められた基準はありません。 子どもが委託されると、月々一定の養育費が支給されます。けれども、それだけでは不足し、里親の家計に新たな負担が生じることもあります。 家族構成や、子どもの数によっても異なるでしょうが、日々の生活が安定して維持できることが要件となります。

実子がいるのですが、里親になれますか?

実子がいても里親になれます。 里親として実際に里子を受託するときは、実子と十分に話し合い、新たな家族の一員として里子を受け入れ、早く新しい生活になじめるような工夫・配慮が必要です。

跡継ぎがいないので、里子をもらって家を継がせたいのですが。

里親制度は、家庭での養育が困難な子どもに新しい家庭を与え、子どもを健やかに育もうとするものでそれにより、子ども自身の福祉を図ることを目的としています。ですから、「跡継ぎが欲しい」、「老後の世話をさせたい」あるいは「家業を手伝わせたい」というような、特定の目的を叶えるために子どもを委託することはできません。

女性の単身者ですが、里親になれますか?

単身者でも里親になれます。
ただし、子どもを養育しながら生計を維持する手段を得ていることが必要です。また、一人だけで養育に当たらなければならないという精神的な負担や、万が一、里親が病気や怪我をしたときでも、受託した子どもの世話は欠かせないといった問題がありますので、このような課題を克服できる条件が整っていることが必要です。

先日、乳児院(児童養護施設)に見学に行ったところ、家庭に恵まれないたくさんの子どもたちがいました。この中から、気に入った子を家に連れて行って里親になれますか?

乳児院等の施設で生活している子どもは、すべて児童相談所が委託している児童です。ですから、施設との話し合いで里子として連れて帰るということはできません。里親への児童の委託は、すべて児童相談所が行います。里子として里親に委託するかどうかの判断も、児童相談所が行います。

預かった子どもの名前を、自分の姓にして生活することはできますか?

住民登録や学籍簿、健康保険証等正式の書類は実名で記載されます。しかし、学校での名簿等日常の場面では、里親の姓を使わせることは可能です。ただし、子ども自身の気持ちを尊重することも必要です。

どのような子どもが、里子になるのですか?

全ての子どもにとって、家庭で、親の温かい愛情の中で養育されることが大切です。しかし、いろいろな事情から家庭に恵まれない子どももいます。 児童相談所では、このような家庭的環境に恵まれない子どもを、それに代わる環境として個人の家庭にあずけて養育するために、里親に里子として委託しています。

里親に申し込んでから、どの位で子どもが来るのですか?

子どもの委託については、親の同意を初め、年齢や発達状況、行動特徴など考慮すべき点が多々あります。また、里親にも、受託についての考えがありますから、その後の子どもの養育を良好なものにするためにも、それぞれの条件がうまく適合するようにしなければなりません。子どもの条件はそれぞれであり調整に要する時間も異なりますから、委託までの期間がどの位か、一概には言えません。 委託をスムーズに進めるためにも、普段から、里親と児童相談所とが頻繁に情報の交換を行うことが大切です。

専門里親とは、どんな制度ですか?

被虐待児童の急増により、平成14年度から新たに始まった制度です。被虐待児童は、特に家庭の温かさや、特定の大人の深い愛情が必要とされており、そのためには、家庭養育が望ましいとされています。 専門里親は、これに対応するために、主に被虐待児童の養育を受けていただく里親です。対応が難しい児童の養育に当たるため、県で行う研修を受講し、終了することが必要です。

里親登録後に受けられる支援等はありますか?

親登録後は、埼玉県里親会で行っている「里親しっかりサポート事業」を利用することができます。料金はかかりません。
また、埼玉県里親会の会員になると、研修や地域里親会で行っている各種行事に参加することができます。

養子縁組にはどんな種類がありますか?

里親制度と密接な関係があるものとして養子縁組制度があります。実際、一定期間里親として子どもを養育し、その後養子縁組するという里親も多く、里親希望者の7、8割が養子縁組希望者ともいわれています。
しかしながら、養育里親、養子縁組里親などその呼び方の問題もあり一部では混同されている場合があるようです。里親制度も養子縁組制度も、家庭で育つことができない子どもを自らの家庭において養育するという点では、子どもたちの福祉にとって大切な役割を担う制度ですが、里親制度は児童福祉法に規定される子どものための制度として、養子縁組制度は法律的に”親子関係を成立させる”民法上の制度として、それぞれの考え方に基づく別の制度です。
(注)養子縁組・特別養子縁組をするのに必ず里親登録が必要ということではありません。個人的に縁組を成立させる方もいますし、また養子縁組を斡旋している団体もあります。あくまでも里親が養育する子どもは、都道府県知事から養育の委託を受けた児童であり、法律的な親子関係はそこには存在しません。

養子縁組には「養子縁組」と「特別養子縁組」があります。「養子縁組」は養親と養子の当事者間の契約で成立する養親子関係(ただし、未成年者を養子にする場合は家庭裁判所の許可が必要)であり、「特別養子縁組」は、養親となる者の請求により、実父母及びその血族との親族関係が終了する養親子関係をいいます。
一般的な「養子縁組」は、明文上制限がなく非常に幅広い目的のために利用できる制度になっています。そのため、親としての責任や権利は養親に移りますが、一方で実親との親族関係(相続権や扶養の義務)が継続されることや戸籍上に「養子」と記載されること、あるいはいつでも離縁できることなど、場合によっては子どもの利益(子どもの福祉)にならないような点も見受けられます。

その点、「特別養子縁組」は、「父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であること、その他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があるとき(民法817条の7)」、つまり実の親に養育されるよりも養親に養育される方が子どもの福祉に適うと家庭裁判所が判断した場合成立が認められ、戸籍上も「子」として実子と変わりなく記載されることや、養親から離縁を申し出ることができないなど、いうなれば、より子どもの視点にたった養子縁組ということができます。なお、「特別養子縁組」の場合、未成熟の子を実子と同じように養育するという制度の趣旨から養子の年齢制限(原則6歳未満)が設けられています。

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愛着障害とは?

最近、児童虐待など子どもたちの抱える問題は複雑化・深刻化しています。また、RAD(反応性愛着障害)やADHD(注意欠陥多動障害)、LD(学習障害)など、養育に大きく影響する子どもの障害も知られるようになってきました。

特に、愛着の障害は、子ども健全な発達や子どもの心理や行動を理解する上で、里親養育においても中心的課題のひとつになっています(現実の問題として、幼児期に愛着形成ができず愛着に障害のある子どもたちを受託・養育する里親さんも多くみられます)。 一般的に愛着障害は、『・・・身体、知性、社会性の目覚しい発達を遂げる最初の1年は、赤ちゃんにとって大人への信頼を学ぶ大切な時期でもあります。赤ちゃんが自分の要求を泣くことで知らせ、親がその泣き声を聞き分けて、要求を的確に満たすこと-例えば授乳、抱いてあやす、オムツを替えるなど-で、満足感・幸福感を経験し、その人を信頼すること(愛着の絆)を学びます。泣いても放置されたり、複数の大人がいつも違った対応をすると、感情をつかさどる脳神経回路が強化されず、人間関係に無関心になり、良心や社会性が育ちにくくなることがあります。これがいわゆる愛着障害と呼ばれる症候群です・・・』(厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課監修「子どもを健やかに養育するために」から)、といわれています。

信頼感があるからこそ、子どもは親の価値観を自分のものとして、良心や倫理観などの社会性を育てることができるのです。幼児期の不適切な養育により愛着の絆が結ばれていない愛着障害は、子どもの人格を形成する上で大きな障害になります。
「自分のイライラや不満を抑える力」(衝動や刺激に対して自制が効かない、自分を傷つけたり物を壊すなど、「対人関係が築けない」(人を信頼しない、他人に対して共感や同情がもてない、あるいは見知らぬ他人にも恐怖心なく愛嬌を示すなど)ことなど、子どもたちにさまざまな問題行動をもたらします。

愛着の絆の発達は、的確な時期を逃がすと修復に長い時間と大きな努力が必要になります。一対一で子どもの生理的・心理的発達に沿った子どもの養育が求められます。
ただ注意したいことは、子どもの様態を的確につかむことは大切ですが、子どもの一面を捉えて「愛着障害だ!」と早計に判断しないことです。

愛着の絆は親子の互いの努力により修復することが可能といわれています。やみくもに情報に振り回されることなく、しっかりと子どもと向き合い子どもの状況を見極めることが大切ではないでしょか。